「Q」の17話、シーズン2の5話。
元タクシー運転手だという男は、そのときに体験した不思議な体験がホラー雑誌の記事として掲載されたという。
その際、その現場の取材に同行するものの、実はその体験はすべて作り話だったといい、怖い出来事など起こるはずがない。しかし、実際に恐ろしい出来事が起こり始め……という内容。
「Q」の特徴を活かしているというか、かなり出来のいい話だった。
「Q」は基本的に、怪物や幽霊などがはっきり出てくることはない。不気味な写真はよく出てくるが、はっきり幽霊とか、鬼の形相をしてるとかではなく、人間の顔が変に崩れているとか、グリッチ的に全体が歪んでるとか、そういう映し方をする。
そのために明確なオチがない話が多く、考察や想像の余地があるといえば聞こえはいいけど、さすがに17話もやっていると「また視聴者に丸投げで、たいして考えてないんだろう」と思わないこともない。
今回も、何が真実なのかわからなくなったという、その「制作側に明確な回答がなさそう」系統でありながら、そこに行き着く過程自体が新しいアプローチだったので、マンネリと感じる自分の思考が良い意味で裏切られた感じ。
なんなら回答はあるのかもしれない、と感じさせてくれる。それが大事。
ネットで感想や考察を読んだけど、個人的には、タクシー運転手の男の表情や態度が白々しく、たとえば変なメモを読むところとか、普通もっとビビるんじゃないか?と思ったんだけど、ディレクターの態度の方がうさんくさいという意見もあった。色々ある。
あとは40kmくらいを2時間で走ったというのも最初から違和感があった。信号とかはあると思うけど、時速20km/hはせいぜい自転車くらいのスピードじゃないのか。適当に話しているのか、時間感覚が麻痺してるのかも?
もともとタクシー運転手が語っていた怪談自体は本当にどこかで聞いたことのあるようなありふれた、はっきり言ってつまらないものだった。これはわざとだと思う。
山奥で体験する不気味な出来事も、一部はどこかで見たことがあるものが多い。これがディレクターの仕込みだから、何かのパクリっぽくなってるという伏線なのであれば面白い。
不気味なビニール紐については、最近Theつぶろに解明された有名な探偵ナイトスクープの回が思いつくし、山奥にモノが捨てられているのは、ネット怪談のエロ本小屋の話とかが思いつく(あの恐怖とはだいぶ毛色違うけど、まあ、よくある……ってこと)。
木に大量の写真が飾られている?祀られている?シーンや、やっとたどりついた車に誰かが乗り込んでいるという恐怖体験は、あまり見覚えがなく、面白かった。
実際に誰が追いかけてきたのか、何が車に乗っていたのかはよくわからないが、これも見せない方が良かったと思うし、これも「Q」の特徴が効果的に機能していると感じた。